半田本院獣医師の山本です。
先月、エランコバイトリルセミナー2024に参加してきました。自分は1年ぶりのセミナー参加でしたが、西日本の牛の獣医師が多数出席し、会場に入ったら次々に知り合いの先生方に声をかけていただき、コロナ前に知り合ったみなさんの元気な姿をみることができてうれしく思いました。
セミナーは極めて現場的な内容2題でした。
いわて総合動物病院の佐々木恒弥先生による「予後を考えた大腸菌性乳房炎への治療アプローチ」では、急性大腸菌性乳房炎に対してキンキンに冷やした生食に抗生物質、消炎鎮痛剤を混合して排乳後に注入するのを1日2回3日間繰り返すことで良好な結果を得たというものでした。当院では抗生物質と消炎剤の全身投与と乳房洗浄が主な治療方法でしたが、従来の方法ではうまくいかなかった症例もあるので異なる選択肢として現場ですぐにでもやってみたいと思い、とても参考になりました。
もう一題、NOSAIかごしまの叶有斗先生による「臨床現場における肺エコーの活用」では全国的に普及している直腸検査用超音波診断装置を使って呼吸器病の子牛の初診時に肺のエコー像を観察して実際の肺病変の有無や程度を確認した上で治療アプローチを考えるというものでした。肺エコーというとわかりにくく手間がかかるし、予後診断に使うイメージでしたが、普段持っている直腸検査用プローブをアルコールスプレーで濡らした左右胸部に肋間から当てて状態を確認するというコンパクトな方法で、熱や活力、呼吸数、呼吸様式、聴診の重症度と肺病変の重症度が一致しない症例もあって、従来の症状とともにエコー像を指標に治療を決めるというもので、この不一致を発見することで慢性化や再発を繰り返すことになる牛を減らせるのではないかと思いました。
セミナー後は情報交換会で講師の先生に直接お話をおききしたり、他の地域の方と現状を話し合ったり、大学の同級生がいたので懐かしい話をしたり、あっという間でした。
対面でのセミナーはオンラインより直接伝わってくる雰囲気もあるので理解が増す気がします。情報交換会もセミナーと同じくらい有意義なものです。今後も機会があれば私だけでなく他の獣医師も参加していきたいです。
3年前に当院を退職し、身に着けた技術を武器に岡山で開業した三宅先生(写真左の長身の方)に会うことができ、順調に顧客を増やして忙しくハードワークしているとのことでした。開業して閑散としていると大変なのでハードなのは喜ばしいことです。元気そうで何よりでした。