獣医師の山本幸夫です。
11月21日、名古屋市で開催された家畜診療等技術東海北信地区発表会で研究発表をしました。「持続点滴療法を行なった下痢症交雑種子牛のその後」と題して、下痢が重症であるがために数日間連続して点滴を続ける持続点滴療法を行わなければならなかった交雑種の子牛たちがその後の群飼育で肺炎や中耳炎になるリスク、死亡や廃用になりやすいリスク、枝肉成績が低下して赤字になるリスクを1つの農場で検証したものです。
結果は持続点滴の有無によって肺炎罹患率や死廃率、枝肉成績には統計的に有意な差はありませんでした。重度下痢症子牛を持続点滴によって生き延びさせたことはこの農場の売上に貢献していることがわかりました。もし生き延びても牧場にとってマイナスになっているなら治療方針を考え直さないといけないので、このような検証は現場での日々の診療方針の根拠として必要なことだと思います。
持続点滴という技術は以前からありましたが、この地域ではあまり普及していないようでした。技術の習得、普及には時間がかかります。そこを追及していくことも臨床獣医師の大きな役割の一つであり、日々精進です。
残念ながら全国発表会への切符は逃しましたが、この経験を糧に今後はもっと魅力的な研究発表ができればいいと思います。