獣医師の山本です。
先月のことですが、顧客農家として往診している愛知県立半田農業高校で生まれた黒毛和種雄子牛(4ヶ月半)の観血去勢を生徒たちに取り囲まれながら実施してきました。
生徒たちが着替えて集合したらまず軽く説明をしてから、鎮静剤と鎮痛剤を投与して寝かせ、陰嚢が見えやすいように四肢をまとめて縛り、洗浄・消毒し、いよいよ切開して去勢です。
担当の先生はタブレットで動画を撮影し、生徒たちは見えるところで取り囲んでいます。手順を説明しながら手技を進めていきます。
陰嚢を切開して鞘膜も切開し、精巣を露出させて鞘膜を精索の上部まで剥き上げます。露出した精索をナイロン糸で徳利結びにより結紮してその精巣側で切断します。出血がないことを確認して糸を短く切り、切断面が上部に引っ込むように陰嚢を引っ張ります。これを両側やって終了です。
途中で生徒から一人手伝いを募集し、ただ一人の男子が出て来てくれて、結紮するときに精巣を保持しておいてもらいました。
最後に消毒してペニシリンを注射し、あと2日間注射して経過良好で終診しました。
ほとんどが女子で、男子は一人でしたが、比較的おとなしい生徒たちでした。
半田農業高校で私が去勢を担当するのは初めてなので、全月齢対応で自分が普段和牛農家でやっていて出血事故もない結紮法で行いました。
摘出した精巣を触ってみたいという生徒がいたので直腸検査用手袋をはめてもらって順番に触ってもらいました。
一緒に和牛1頭と搾乳牛1頭の妊娠鑑定を頼まれたので、当院は半田農業高校ではいつも直腸検査による胎膜スリップで鑑定しているのですが、今回は授業の一環なのでエコー装置を使ってビジュアルで胎子の存在と心臓の拍動を全員に順番にみてもらいながら解説してみました。
いくらか盛り上がって、終わりの挨拶をして授業は終了しました。
大学時代の臨床実習の風景を思い出した楽しい時間でした。
写真撮影は卒業生の女性削蹄師スタッフで、インスタ担当なのでインスタに上げるためにわざわざ時間を合わせて撮りに来てくれました。
妊娠鑑定した2頭に人工授精をしたのは卒業生の男性家畜人工授精師です。
卒業生が活躍する姿もまた、生徒たちにはいい刺激になるかもしれません。